リーダー研修

リーダーとしての役割を認識し、チームを率いて成果を上げるためにスキルを修得する

リーダー研修とは

リーダー研修とは、チームリーダーや管理職など、チームや会社の組織を引っ張っていく人材に対して、リーダーとしての知識やスキルを修得してもらうために行う研修です。
チームリーダーや管理職になったけれど、「仕事をどのように進めればいいのか」「自分自身の役割をどのように変えれば良いのか」がよくわからない。だから、とりあえず今までどおりに仕事を進める、という方が多く見られます。
しかし、それではリーダーや管理職としての仕事は上手くいかず、周囲からの期待にも応えられません。
なぜならば、リーダーや管理職は、自身の業務遂行に加えて自部門の目標達成やチーム内のスムーズな運営、日々起こる問題の迅速な解決、メンバーの育成など、求められることは多岐にわたるからです。
リーダー研修では、新任リーダーが必ず求められる「リーダーシップ」「課題解決」「人材育成」「マネジメント」などをテーマとして、研修を行うことが一般的です。

 

研修の狙い

  • リーダーに必要な役割と基本的な知識を習得することができる
  • リーダーとして、問題発見・課題設定・目標設定ができるようになる
  • 部下指導のマインド、スキル、実践力を身に付ける

プログラム

※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。

【対象:管理職前のプロジェクトリーダー】
1.新任リーダーに期待される役割

(1)組織全体から見たリーダーの位置づけと役割
(2)新任リーダーとしてやらなければならないこと

2.マネジメントとリーダーシップ

(1)マネジメントとは? リーダーシップとは?
(2)マネジメントとリーダーシップの関係
(3)リーダーのあるべき姿
(4)リーダーとリーダーシップの関係
(5)部下のヤル気を引き出すセオリー

3.部下のタイプ別対応方法

(1)部下のタイプに合わせたリーダーシップ

4.問題発見・課題解決に必要なスキル

(1)問題の定義と問題の種類
(2)問題発見から課題解決までのセオリー

5.人材育成・部下指導を推進するマネジメント

(1)人材育成とはなにか
(2)企業内教育の種類
(3)部下指導をするメリットとデメリット
(4)部下指導に必要な職場内教育
(5)職場内教育の受けもつ範囲
(6)教え方の基本手順
(7)部下をほめる、部下を叱る

6.新任リーダーに必要な労務管理の知識

(1)働き方改革
(2)セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント

7.まとめ

リーダー研修が注目される理由

私たちを取り巻く経営環境は目まぐるしく変化し、将来の予測が難しいVUCAと呼ばれる状況にあり、働く環境も、リモートワークの導入や働き方の多様化により大きく変化しています。
このような状況下で、リーダーは、環境の変化に機敏に対応して目標を設定し、目標に向かってメンバーを引っ張っていかねばなりません。
様々な考えを持つメンバー一人ひとりの力を最大限に引き出し、組織のパフォーマンスを高めるリーダーの存在は、ますます重要なものとなり、難易度も増加しているといえます。
リーダー研修が注目される理由は、リーダーが目標達成を導けるだけの専門知識を持つことはもちろん、計画を立てる力や行動力、チームメンバーとコミュニケーションをとってモチベーションを維持させたりする力など様々な力を持つことが求められているからです。

 

リーダー研修の対象者と研修内容

「リーダー研修」は管理職を対象として実施するケースが多いと言えますが、数名のチームを率いる管理職前のチームリーダーから経営幹部まで、企業によってもリーダー像や求めるスキルが異なります。リーダー研修を行うにあたっては、組織に必要なリーダー像を社内で話し合い、どのような目的で研修を行うか明確にしたうえで、自社の目的に適したリーダー研修を企画することが大切です。
それでは、リーダー研修の対象者を見ていきましょう。


(1)近い将来管理職になる可能性が高いプロジェクトリーダーなどの中堅社員
早期にリーダー研修を行い、研修で学んだ内容を活かしつつ、プレイングマネージャーとして仕事に取り組むことで、徐々にリーダーとしてのスキルを高め、自信をつけていくことができるはずです。その結果、将来的に企業としては管理職不足に陥ることを防ぎ、経験値の高い、チームをまとめることのできるリーダーの育成ができます。

最近は、仕事に対する考え方も多様化し、責任や残業時間の増加を敬遠して、管理職を望まない人が増えてきていると言われていますが、小さなプロジェクトのサブリーダーを任せるなどから、徐々に裁量のある仕事に取り組んでもらうことで、考えが変わってくることもあるはずです。研修で身に付けてほしい代表的なものを4つほど挙げておきます。


①プレイングマネージャーとしてマネジメント
②上長と部下を巻き込むスキル
③上司フォロー
④ファシリテーションスキル


(2)新任の管理職
新任の管理職に対しては、リーダーの役割とは何か、どのようなスキルが求められているのかを理解してもらい、リーダーとして不安なくスタートできるようにフォローアップしていきます。新任の管理職はまず、「リーダー」とは、どういう役割を果たす存在なのか、組織やメンバーから、どのように期待され、またどのようなスキルが求められているのかを理解することが大切です。以下に研修で取り組むべき代表的なスキルを3点挙げておきます。

①リーダーとして必要なコミュニケーション能力
●メンバーとの相互理解を深めるためのコミュニケーション力
●「1on1ミーティング」の実施方法など


②指導のためのスキル
●モチベーションアップのためのスキル
●メンバーに必要な知識やノウハウをわかりやすく伝えるティーチングスキル
●対話を通してメンバーが自ら答えを導き出せるようにサポートするコーチングスキル


③リーダーの仕事の進め方を学ぶ
●チームの目標を設定し、進捗管理を行うマネジメント能力
●業務推進に必要な問題解決・意思決定手法


(3)マネジメントを行っている既存の管理職
既に、組織をマネジメントしている管理職に対しては、現在の業務を振り返り自身の長所・短所を把握した上で、さらにスキルを磨いてもらうために実施されます。
また、現状の部署の課題や自己目標を明確にしてすぐに業務に反映してもらうこともできます。


①自身のリーダーとしての現状を理解し、今後の課題を設定する
事前に、研修参加者が担当する部署でのマネジメントの状況を把握するために、360度評価やエンゲージメントサーベイなどを行っておき、研修時にフィードバックを行い、具体的にどういったことを今後の課題と設定し、何を行っていくべきなのかを深く考える機会とします。

②今後の業務に落とし込む
自己のマネジメントの改善点だけでなく、研修で見つかった部署の課題を、今後の業務に落とし込んでいきます。すでに、管理職として活躍している参加者ですから、ただ知識を提供するだけではなく、今後の行動につなげることが非常に重要です。

(4)経営幹部候補である次世代リーダー
経営を担う人材の不足を経営課題として挙げる企業は規模の大小を問わず、多く見受けられます。経営の重要なポジションを担う経営幹部候補を早期に発掘し、自社の経営を受け継ぐ人材として育成することは企業の持続成長にとって必要不可欠ですので、社長自らが研修を行い、経営理念を継承している企業もあります。

以下に研修で取り組むべき代表的なテーマを2点挙げておきます。


①経営幹部としての意識の醸成
研修の参加者は、経営幹部候補だけあって、自部門の成果に対する責任感が強く、優れた実績が認められていることでしょう。その反面、思考や行動が部門最適になっていることもあるため、組織を俯瞰する経営幹部としての自覚を持ってもらい、全社最適な思考・行動へと変革させる必要があります。参加者に全社的な課題の発見と対応策を検討させることや、経営戦略を策定させ、現経営層にプレゼンテーションさせることは、多くの研修で行われています。

②戦略策定、計画立案などの経営に関するスキルを学ぶ
担当する部署によっては、戦略策定に欠かせない課題発見・環境分析・問題解決などのフレームワークや財務会計・管理会計・法務など、実際に自社の施策を検討するために必要な知識やスキルが不足しているケースがあります。短期間の研修で、経営幹部に必要なスキルを身に付けてもらうことは難しいですが、不足するスキルを認識してもらい、将来の経営を担うという意識を醸成することで、問題意識をもって、自主的に修得に取り組んでもらうきっかけを作ることは可能なはずです。

 

リーダー研修とリーダーシップ研修との違い

リーダー研修と、リーダーシップ研修の違いは何でしょうか。

「リーダーシップ(leadership)」とは、組織や団体などの集団を目標に向かって牽引する
機能のことです。
著名な経営学者であるピーター・ドラッカー博士は著書『プロフェッショナルの条件』の中で、リーダーとリーダーシップについて次のように述べています。

●リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。
●リーダーとは目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。
●リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである。

ドラッカーは、リーダーシップは才能や性格・カリスマ性に左右されるものではなく、「仕事」であると考えています。
ここで言う仕事とは、一人ひとりが身につけるべき能力であり、業務で成果をあげるために率先して自発的に動き、結果的にチームも同じように動いた例があれば、リーダーシップが仕事として機能しているということです。
つまり、リーダーは、組織の使命を考え抜き、目標を設定し、メンバーを牽引する能力・機能(リーダーシップ)を持たねばならず、それは決して、才能や性格に左右されるものではなく、自発的に仕事をすることから生じることを示しています。
従来、リーダーシップとは管理職・リーダー職など部下を持つ人に必要な能力と考えられていました。近年ではリーダーでなくとも、リーダーシップを持つことが求められてきています。
その理由は、ビジネス環境の変化が速く、価値観が多様化している現代においては、組織を構成するメンバー一人ひとりがリーダーシップを身に付けて、周囲を巻き込みながら目標に向かっていくことが組織のパフォーマンスを最大限に発揮することに繋がるからです。

リーダー研修は上述の通り、チームや会社の組織を引っ張っていく人材であるリーダーやリーダー候補に対して行われます。一方、リーダーシップ研修は全社員が対象になると考えてください。
リーダーとリーダーシップは誤解の生じやすい言葉ですから、今行うべき研修がリーダーを育成・フォローする研修なのか、全社員対象のリーダーシップ研修なのかは明快に区別しておく必要があります。

 

リーダー研修を効果的に行うポイント

日々の業務に忙しいリーダーに行う研修ですから、効果的に実施したいものです。
次に、研修を効果的に行うポイントについて、考えてみましょう。


(1)参加者のレディネス(学習準備性)を形成する
参加者であるリーダーの皆さんは、それぞれの部署で活躍している優秀な方が多いはずですから、研修参加が義務だから、という理由ではモチベーションを上げられないものです。
リーダー研修を効果的に行うためには、まず、研修内容が、参加者の仕事や課題に関連していることを参加者が理解し、学ぶ必要性を感じるなど、学習の準備が整った状態=レディネス(学習準備性)が強く形成されている必要があります。

 

ARCSモデル
レディネスを高める教育手法として、ARCSモデルを紹介します。
ARCS(アークス)モデルは、アメリカの教育心理学者である、ジョン・ケラーが提唱した考え方です。
ARCSモデルでは、レディネスを高める要素を、「Attention(注意)」「Relevance(関連性)」「Confidence(自信)」「Satisfaction(満足)」の4つと考えています。これら4つの要素の頭文字をとってARCSモデルと呼ばれているのです。
もともとは、学生を対象として、教育現場で導入が進んでいたARCSモデルですが、近年では企業における人材教育への活用例が増加しています。


ARCSモデルを構成する4つの要素を説明します。

①「Attention(注意)」
まず、参加者の知的好奇心や興味、探求心を刺激することで、学習内容に対して注意をひく工夫が必要です。例えば、研修の案内資料を分かりやすいものとし、参加者が「もっと知りたい、学習したい」と思うような目新しさや学習分野の将来性を示すとともに、学びに定期的に変化を取り入れるなどマンネリ化しないような工夫が大切です。

②「Relevance(関連性)」
研修内容が、自分の仕事との間に関連性が感じられれば、参加者のモチベーションは高まります。
リーダー研修は、2日間程度の短期間で開催されることが多いため、総論を学ぶにとどまる場合、研修で学んだ内容を現実の業務に落とし込めず、ギャップを感じることとなり「もっと具体的なことを知りたかった」などの不満が出て、逆にモチベーションは低下してしまいます。参加者の業務上の目的や目標と学習内容をつなげ、研修で利用する事例についても、関連性と親しみをもたせるなどの取り組み行うことが有効性を高めます。


③「Confidence(自信)」
自信がなければ、「学習しても無駄だ、意味がない」などと考えてしまい、学習に対するモチベーション低下のおそれが懸念されます。
特に、管理職前の中堅社員や新任の管理職などに実施するリーダー研修では、学習課題の難易度が高すぎると学習意欲を低下させる可能性があるため、課題への取り組み方法を細分化し、一つ一つ成功体験を重ねて、自信をつけさせることが効果的です。
学習上の明確な目標を、学習者自身の努力と工夫によって着実にクリアする繰り返しを経て、徐々に自信を培っていくのがよいでしょう。


④「Satisfaction(満足)」
学習によるメリットや効果を感じられなければ、学習意欲を保つのは難しくなってしまいます。従って、新しいことを学んだという実感や今までとは異なる気付きの実感を持たせることがポイントです。
また、学習内容を業務において実践する機会を用意することも、「学習してよかった」と参加者に思ってもらえる可能性が期待できます。

 

リーダー研修と関連するおすすめの研修

リーダーとして、うまく機能していない人に困っていることをお聞きすると、

●業務範囲が広がり、優先順位を上手くつけることが出来ない
●チーム内の役割分担が上手くできない
●部下の叱り方が分からない

という悩みを持っている方を多くいらっしゃいます。
次に、そのような方に、おすすめしたい研修をご紹介します。


(1)インバスケット研修
もともとは、1950年代に訓練の結果測定をするためにアメリカ空軍で開発された研修方法です。「インバスケット」という言葉は、大きな箱の中に未処理の案件が雑多に詰め込まれている状態を意味しています。インバスケット研修は、設定した人物(課長や課長の休暇中を預かる代理など)になりきって、業務上起こり得る案件を制限時間内にできる限り多く処理していく研修です。そのため、優先順位を付ける能力と、素早く処理していく能力が求められます。

日本においては、管理職登用者の選抜など、適性を客観的な評価することが求められる場合の有効的な評価ツールとして、大企業のみならず中小企業や官公庁でも導入されています。
しかし、評価ツールとしてだけではなく、インバスケット研修を通して培った能力は、実務を的確かつ迅速に行うために活かされることから、昨今は多くの企業が純粋にマネジメントスキル等の研修として、取り入れています。 

インバスケットによって得られる研修効果としては、以下のものが期待できます。

●業務を多面的に見る視点の向上
●優先順位をつけるスキルの習得
●問題解決力の向上
●判断力と決断力の向上


(2)職場環境を円滑にするコミュニケーション研修
リーダーには、労働環境や組織運営が多様化するなかで、メンバーの個性や多様性を認め合いながら、チームを一体し、成果を導き出すスキルが求められます。

①チームビルディング研修
単なる集団が、力を合わせ、成果を出せる「チーム」に変化させるスキルを学びます。
集団がチームになるまでのプロセス構築を理解した上で、メンバーが互いに違いを認め、多様な価値を承認し、時には称賛することでコミュニケーションが活性化する効果やチームを動かすリーダーシップなど、今の時代にあったチームビルディング手法を学びます。
また、リーダーとしてメンバーへの動機づけなど必要なスキルを、チームビルディングを通して学んでいきます。


②ファシリテーション研修
ファシリテーションとは会議やプロジェクトの話し合いなどがスムーズに進むように、また成果が上がるように進行支援をすることをいい、またその担当者をファシリテーターと呼びます。ファシリテーターとは、従来型の司会進行役とはその性質も目的も異なります。概ね「様々な意見を整理し時間通りに進める」ことを目的とする司会進行役に対し、ファシリテーターは「様々な意見を整理するにとどまらず参加者の意見を引き出し、合意を得ながら進める」ことを目的とします。
ファシリテーターに必要なスキル(場のデザイン、コミュニケーション、構造化、合意形成)を習得することが今のリーダーには求められます。
チームビルディング力を高めるためにも、プロジェクト参加メンバーの全員が本音で議論でき、また部下や後輩からも意見を引き出し、合意形成プロセスを経て、同じ目標や成果に向かって推進する、まさにファシリテーション力は重要なスキルといえるでしょう。また、チームビルディング力が高まれば、円滑にチーム内の役割分担も明確化し、メンバーの責任感も醸成されますので、部下指導も円滑に進むはずです。

 


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